Sunday, July 23, 2006













口之津を出た。東シナ海に入った。

「地形によって潮は複雑に変化する。古代の船も地域ごとに、潮の流れに詳しい人に先導されたのでは。」
大きなうねりが襲ってきた。船は右に左に揺れていく。
「潮の力というものは恐ろしいものです。海はやはり、いつも危険がいっぱいです。」
平行して走っていた母船「平成2号」の船長石田さん(70歳)は関門海技協会の教官であり、航海暦が50年というベテランで、ずっと捕鯨船の船長も務めていた。水産大学校生の大先輩でもある。

この二日間は口之津海上技術学校の学生たちも櫂を漕いだ。
すっかり疲れた彼らの様子を見ると、手のひらの皮は破れ、肉刺はつぶれていた。

男たちがそれでも海に挑んでいく。
こうして海というものを知り、航海というものを学んでいく。
青年たちが自ら、自分たちの未来を目指して。
海岸を辿りながら、地形を見ながら、ずっと航海を続けていく。
潮や風の影響を検証しながら学んでいく。海図もコンパスもない古代に、先人たちはどのようにして海を渡っていったのか。

<この稿続く>